【棚倉城の城主】

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棚倉城の城主
　立花氏（1604〜20）　
棚倉地方は鎌倉時代以降、長い年月の間、白川氏の領土であった。 白川氏の領土はもともとは、源頼朝から下総（茨城県）結城氏に与えられた ものだった。後に分家して、福島県白河に拠点を置いた白川結城氏が本家をしのぎ、 その勢力圏は南奥州から北関東にまで及んだ。 しかし、その白川結城氏も戦国期に入り、常陸太田（茨城県）の佐竹氏の 台頭により滅亡した。その間、棚倉は白川結城と佐竹の最前線の戦場になり、 後には南下を目指す伊達氏と佐竹氏がこの地で対立した。 そして、天正18年（1590）の豊臣秀吉の全国平定に伴う「奥州仕置」即ち 領地決定により、棚倉は天領となり、戦火に巻き込まれる事はなくなった。 江戸時代に入り、棚倉の初代の藩主となったのは立花　宗茂（たちばな　むねしげ） であった。 宗茂は筑後柳川（福岡県）の城主であったが、関ヶ原の戦いで豊臣方につき改易、 流浪の身となった。その後、二代将軍秀忠に取り立てられ、慶長9年（1604）に 棚倉に領地を与えられ、のち加封となり、赤館を居城として支配に当たった。 元和6年（1620）宗茂は旧領地柳川藩11万石に戻った。
　初代藩主・丹羽長重（1622〜27）　

立花氏の次に棚倉を与えられたのは丹羽　長重（にわ　ながしげ）であった。
長重は関ヶ原の戦いでは徳川方についたが、前田　利長との争いが因で改易。
慶長8年（1603）常陸古渡（ひたちふっと）で1万石の大名に復活、
同じく江戸崎で2万石、元和8年（1622）には、5万石の棚倉城主となる。
寛永元年（1624）、幕府の命令によりこの地にあった近津明神を馬場に移して、
平城の棚倉城を築き、初代城主となる。

　2代藩主・内藤　信照（ないとう　のぶてる）（1627〜65）　
寛永4年（1627）近江（滋賀県）長浜より5万石の棚倉城主となる。
寛永6年（1629）、京都大徳寺高僧、玉室和尚が紫衣事件にかかわって 棚倉お預けとなったが、内藤城主は、赤館南麓にあった光徳寺に1つの 建物を建てて大切にお世話をする。
城下町は商品の問屋や荷物を運ぶ馬の駅も出来、経済の中心地として発展。
慶安3年（1650）から承応元年（1652）大坂城代という役にもついたが寛文5年（1665）
江戸にて亡くなる。（74歳）

　3代藩主・内藤　信良（ないとう　のぶよし）（1665〜74）　
寛文5年（1665）城主となる。 父信照の遺志を次ぐ熱心な念仏宗（浄土宗）の帰依者で、 これまでの信仰を一変させた。 寛文5年（1665）、市坂（旧上台への道）に愛敬稲荷神社を建てる。 同12年、城下の大火で武家屋敷136戸（北町・南町）、民家312戸（新町・古町） が焼けた。（現棚倉駅近くにあった長楽寺付近から出火したといわれている。）
延宝2年（1674）、城主を退き、元禄7年（1694）蓮家寺境内に常念仏堂を建てる。 同8年、亡くなる。（71歳）

　4代藩主・内藤　弌信（ないとう　かずのぶ）（1674〜1705）　
延宝2年（1674）に6万5千石で城主となる。 同12年に本丸土塁上に鐘を造り、朝夕時刻を知らせる。同14年、宇迦神社の拝殿を 再建する。元禄15年（1702）三十三観音堂を蓮家寺に寄進する。 度重なる飢饉や大火により、財政難に陥り、財政改革人松波勘十郎を起用するが、 農民から反発され失敗。宝永2年（1705）駿河田中（静岡県）へ移封となる。
　5代藩主・太田　資晴（おおた　すけはる）（1705〜28）　

太田氏は、江戸城を築城した太田道灌を含む、関東の名門であり、家康が関東に入ってから 用いられ、のち大名に取り立てられた。
宝永2年（1705）駿河田中（静岡県）より5万37石余で棚倉城主となる。
宝永4年、花園に日蓮宗高徳山長久寺を造り、棚倉城の南門を移して山門とする。
享保8年（1723）幕府の奏者番という職に就き、同10年、寺社奉行にもなる。
同13年、若年寄に進み、上野館林（群馬県）に移る。
この年、八槻都々古別神社に大鉄灯籠を寄進する。
　6代藩主・松平　武元（まつだいら　たけちか）（1728〜46）　

享保13年（1728）上野館林より5万4千石にて棚倉城主となる。
同年、5万5千石、寺社奉行となる。
元文4年（1739）城付領地2万5千石・五十五か村が塙代官支配の天領となり、
代替地は遠方となり、城下町としての棚倉は急激にさびれてしまった。
延享3年（1746）館林に帰城し、老中職となる。
蓮家寺にある大仏は、武元が藩主時代に作られたもの。

　7代藩主・小笠原　長恭（おがさわら　ながゆき）（1746〜76）　

延享3年（1746）7歳で遠江掛川（静岡県）より棚倉城主となる。
近江（滋賀県）の2万石と棚倉の4万石で6万石となる。
寛永3年（1750）塙騒動（戸塚）があり、
塙代官の依頼で棚倉より兵を出す。（塙は幕府領だった。）
明和4年（1767）佐渡守に名が変わったが、近江2万石のこともあり、
財政は非常に苦しく、藩内の生活は大変なものであった。
安永5年（1776）亡くなる。（37歳）

　8代藩主・小笠原　長堯（おがさわら　ながたか）（1776〜1812）　
安永4年（1776）17歳で城主となる。
天明4年（1784）領地引替えにて、塙代官より
瀬ケ野・小爪・強梨・戸中・漆草・大梅・福岡・上手沢・下手沢・北山本・中山本・下山本・ 上渋井・
中野・中塚・川上・川下を引き継ぐ。
寛政12年（1800）浅川一揆を抑えるため、棚倉より兵を出す。文化9年（1812）長昌に 家督を譲る。
（隠居して南萼（なんがく）と名乗る。）同年5月亡くなる。（49歳）

　9代藩主・小笠原　長昌（おがさわら　ながまさ）（1812〜17）　
文化9年（1812）城主を継ぐ。文化10年、紅葉山火防の役につく。文化14年、肥前唐津（佐賀県） の城主となる。
　10代藩主・井上　正甫（いのうえ　まさもと）（1817〜20）　
文化14年、遠江浜松（静岡県）より6万石で棚倉城主となる。
文政3年（1820）幕府の役を致仕（やめ）、病気といって棚倉へは来なかった。
棚倉城に蛇が多いという伝説はこの頃作られる。

　11代藩主・井上　正春（いのうえ　まさはる）（1820〜36）　
文政3年（1820）城主となる。文政7年、英国船が常陸大津に上陸したので、
棚倉は海岸に陣屋を設けて警備した。
天保5年（1834）寺社奉行となる。天保7年、上野館林（群馬県） の城主となる。
　12代藩主・松平　康爵（まつだいら　やすたか）（1836〜54）　
天保7年（1836）石見浜田（島根県）より6万4百石で棚倉城主となる。
山本不動尊へ開運祈願の石灯籠を寄進する。
嘉永7年（1854）城主を退く。
安政2年（1855）隠居（弾正少弼（だんじょうしょうひつ）と名乗る。）

　13代藩主・松平　康圭（まつだいら　やすかど）（1854〜62）　
嘉永7年（1854）兄康爵の養子となり城主となる。
藩政改革に意を用い、「機業（はた織り）」「瓦焼」「梨子園」 「こんにゃく栽培」「牧馬（放牧による）」等奨励した。文久2年（1862）に亡くなる。

　14代藩主・松平　康泰（まつだいら　やすひら）（1862〜64）　
文久2年（1862）城主となる。元治元年（1864）天狗党鎮圧の為、棚倉と江戸屋敷から兵を出す。
その年、16歳で亡くなる。

　15代藩主・松平　康英（まつだいら　やすひで）（1864〜66）　
元治元年（1864）城主となる。慶応元年（1865）老中職を二回勤める。 慶応2年（1866）天狗党事件で、常陸に兵を出した功績もあり、2万石加増で8万4百石余となる。 （天狗党員の処刑も行う。）同年6月、白河城主になるよう命令があったが、同年10月中止となり、 川越（埼玉県）城主となる。この時禄高8万443石となる。
　16代藩主・阿部　正清（あべ　まさきよ）（1866〜68）　
阿部家は8代43年間白河城主であったが、慶応2年（1866）6月19日、10万石で棚倉城主となる。 慶応4年鎮撫総督（官軍）の命令で一時出兵したが、奥羽越列藩同盟（東北の各藩と 新潟の藩が手を組んで官軍に立ち向かう。）に入り、白河城を中心に官軍と戦い、 激しい攻防の末、東軍（東北勢）は敗れ、それぞれの藩に帰る。 この戦いで棚倉は55名の戦死者を出す。ついで官軍は棚倉総攻撃に入り、6月24日、 棚倉城は落城した。9月には会津若松城も開城し、降伏した。 この戊辰戦争で棚倉城と古町など戦火で焼失した。
明治となり、阿部　正功（あべ　まさこと）が棚倉藩知事に任命される。 正功は明治年に「修道館」という学校を開校し、人材の育成を図った。 現在の棚倉小学校の前進である。
棚倉城は江戸時代初めにできて、江戸時代に終わった。 （244年の歴史であった。）
（案内碑より）

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