『前田利家陣跡の石垣と修理工事』
■前田利家陣跡の石垣…ここは前田利家の居館があった「館部」とされる曲輪に上がる為の大手虎口である。
虎口に面した石垣の高さは最大5.5m、通路の幅も約5.5mで、その規模や石垣・石段の立派さは名護屋城と比べても見劣りしない格式を持っている。
特に石垣は、自然石とともに「矢(クサビ)」で割った石が多く用いられており、前田陣以外には名護屋城と徳川家康陣等いくつかの陣跡にしかみられない。
当時としては先進的な石垣の造り方である。また虎口内部では、平らな広い面を持つ大石を立てて据える、意匠的な「鏡石積み」の技法も見られる。
■石垣修理工事…築城から400年以上を経た前田利家陣跡の石垣は、北西側の角石付近を中心として大きく崩壊し、また旧状を保っている部分の石垣も変形が顕著に見られた。
さらに近年の台風・集中豪雨により崩壊の危険性が高まった為、遺構の保全と見学時の安全確保を目的として、平成16〜18年度に石垣修理工事を実施した。
修理に伴う解体発掘調査では、事前に石垣の全体測量、写真撮影を行い、積み直しにあたって必要な現状記録をとった。
それから1石毎に番号を付けて図面・写真による記録を取りながら慎重に解体していった。
また積み直しにあたっては、1石々を可能な限りもとの位置に復元するとともに、石材が失われている部分には、周囲の石を支える為に必要最小限の範囲で新しい石を追加している。
また今回の工事では、石垣修理による遺構保護と合わせ、往時の前田利家陣の様子が実感できるよう、虎口内部の実際の石段・門礎石を露出展示している。(案内板より)
【左】「館部」A ・ B石垣解体状況。(案内板より)(2017/8/16撮影)
【右】(上)A面石垣上部 解体前の状況。(下)A面石垣下部 解体前の状況。(2019/1/3撮影)
※上写真の黄色線より上を解体した後の状況。(案内板より)
(館部)A・B面石垣 修理前の状況。(案内板より)(2019/1/3撮影)
【切り取り加工】大手虎口の石垣。案内板によると積み直しているけれど、格好いい!!(2019/1/3撮影)
【左】大手虎口の石垣。(2019/1/3撮影)
【右】左の写真の角度を変えて。(2017/8/16撮影)
【左】大手虎口。(2017/8/16撮影)
【右】左の写真付近から振り返って。(2019/1/3撮影)