【金山城 その3】

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馬場下曲輪
馬場下通路の南下に立地する馬場下曲輪は、発掘調査の結果、岩盤をくり抜いた 建物の柱穴が見つかった。また、竪堀の沿って石垣で出来た土塁が 延びている事が分かった。 現在整備した土塁は、石垣が崩れた状態を表現している。 この曲輪からは、地鎮などのまじないに使われたと思われる 輪宝墨書土器(素焼きの坏に「輪宝」が墨で描かれている)や、 鍛冶工房で使ったと考えられるフイゴの羽口などが見つかった。 ↓馬場下曲輪の手前は発掘中。
馬場下曲輪 説明板より(@&A、馬場下曲輪西の土塁石垣側面図)
@馬場下曲輪で見つかった柱穴(北より)A馬場下曲輪西の土塁石垣調査時(西より)
馬場通路・石塁 説明板より
物見台から東の北側斜面際では、物見台基壇と一体となって 造られた幅約1.2mの石塁が約72mの長さで発見された。 この石塁は、北の長手口からの攻撃に備える防御上の 効果があったと考えられる。 さらに、長手口から、北側の 岩盤を険しく見せる為の視覚的効果を意識して、 この石塁の上に築地塀が造られていたと考えられる。 しかし、調査では上部の崩落が著しく、塀の痕跡は発見されなかった。
物見台から東の南側斜面際では、石敷きされた通路が発見された。 この通路は、物見台と東側に位置する馬場曲輪を結ぶと共に、 途中で南下にある馬場下通路へと分岐している。
     @石塁調査時(東より)          A石塁調査時(南東より)         石塁から出土した大筒弾丸
大手口馬場跡(物見台方面&馬場曲輪方面) 石塁
建物址 岩盤と物見台 物見台の下側
物見台
物見台の基壇は、自然の地形に沿って等脚台形に造られており、 基壇中央から物見矢倉と考えられる柱穴が4本発見されている。 また、物見台基壇からは、釘や火縄銃の弾丸が出土している。 この物見台からは、金山城の周囲が良く見渡せる為、敵(上杉謙信:天正2年) は、物見台から死角となる藤阿久へ陣を構えた。 ※矢倉台に残る4本の柱穴位置に遺構表示施設を造ったが、 物見矢倉を復元したものではない。


  @物見台基壇調査時(北東より)   A物見台基壇東側柱穴調査時(東より)      物見台基壇出土遺物
物見台からの景色
月ノ池
発掘調査前の月ノ池は、汚泥が堆積する窪地状の池だったが、 調査の結果、月ノ池も日ノ池と同様に上下二段の石垣で囲まれた 戦国時代の池だったことが明らかになった。 下段の石垣は、石敷き平坦面から約2m下に積まれており、その内側からは、 加工された建築部材や石垣の石が多量に投げ込まれた状況が見つかった。 なお、この石垣については、最上部以外、戦国時代の石垣をそのまま 残して整備した。月ノ池の底は、粘土層になっており、谷斜面からの 表流水や浸透水が溜まるようになっていた事がわかった。 また、月ノ池は、池の石垣が一段しかなかった時期があったこともわかった。 月ノ池は谷地形を利用して造られている為、一段の石垣だけでは集中豪雨時に 水が溢れたと考えられる。そのため、水が溢れないように、かつ水をより 多く蓄えられるように、池の中心を東に移動させ上下二段の石垣に改修したものと 考えられる。
  発掘調査時の月ノ池/下段石垣   @漆器椀A灰釉陶器・天目茶碗B箸      戦国期(旧)月ノ池石垣

大手虎口
虎口は、城や城内の各曲輪への出入口部を指し、「小口」とも 書かれる。敵の侵攻から城を守る重要な場所であり、 門・柵・塀・土塁・石垣等で厳重に守られている。 また一方、虎口の「構え」は、「格の高さ」を示す空間ともなっている。 金山城跡にも数多くの虎口があるが、なかでもこの大手虎口は、 一大防御拠点として、まあた「城の格」を示す象徴的な場所として、 最も重要な虎口と言える。大手虎口は谷地形を利用して築かれ、 月ノ池脇から正面土塁までの大規模な「構え」となっていた。 月ノ池脇の門から続く緩やかに曲げた大手通路、 それを守る為見下ろすように両側に配した壇状の曲輪とそこを 守り場とした兵達の各種建物、大手通路の行く手をふさぐように 築かれた正面土塁、横矢を射る為に築かれた壇状の土塁等が あった。 このような大規模で複雑な虎口の構造は、全国的にも特徴的であり、 「難攻不落」を誇った金山城を象徴する場所の1つといえるであろう。 また、通路脇や曲輪内を走る石組み水路は、城の維持の為に 効果的に排水を行う往時の工夫であったと考えられる。

石階段(調査で発見された階段を当時のままに残した) 曲輪
大手虎口北下段曲輪
大手虎口は、水が集まりやすい谷に立地し、 僅かな降雨でもすぐに水が集まり、 それが圧力となって、石垣などの城の施設を 崩してしまう危険性があったと考えられる。 大手虎口の曲輪や斜面で見つかった石組み排水路や溝は、 こうした水害の元となる水を城の外部へ流す為の 施設だった。 また、大手虎口北下段曲輪には、石組み排水路や 溝だけでなく、曲輪面に段差及び中央通路方向への傾斜が見られ、 曲輪面がぬからない工夫がなされている。 このように大手虎口では、谷地形を利用した効率的な 排水施設を見る事が出来る。

■大手口の排水処理■(上の説明板↑)
@岩盤を削って造った溝によって、曲輪内にある石組み排水路に集める。
A曲輪内の石組み排水路によって、中央通路両側の石組み排水路へ流す。
B中央通路両側の石組み排水路によって、大手虎口の外へ排出する。

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